ごあいさつ

堂内写真

(令和3年7月15日 記)

(令和4年4月8日 追記)

『小さな国の記憶』とは、奈良の田舎の唐院 浄徳寺 宗田大輔の「講話集」です。
これまで私が講話してきたこと、または、檀家さん向けに講話する予定だったことを文書にてまとめたものです。
講話は、既に総本山 大念佛寺(大阪市平野区)やその他の会合で発表済みのものも半分くらい含まれています。

今、地域も日本も、そして世界もめまぐるしく変わっています。
その速度は速く、もはや普通の人々にはついていけないほどのものとなりました。
このような時代背景の中で
・少し昔に戻りたい
・故郷に帰りたい
・新しい故郷に根付きたい
と考えている方々もおられると思います。

緩やかな関わりを持って時代を共にする

緩やかな関わりを持って時代を共にする

この講話集『小さな国の記憶』は、唐院の人々にとって浄徳寺のある唐院という地域はどんなところだったのか、私たちの関わってきた日本人とはもともとどんな感じだったのか、戻るとしたら、帰るとしたら、どこに帰るのか、を私なりに研究したものです。
唐院は古くからの地域なのですが、古くからの地域は多くの都市部などの人々にとって、又は社会学者や民俗学者にとって、何やら閉鎖的で実体が良く分からないものであって、移住者も含めて理解しがたいものという認識があったし、今もあると思います。
この講話集は、その都市部などと古くからの地域「唐院」の文化的背景の違いを説明し、相互に理解し、ご縁がある方々は何かで緩やかな関わりをもって、今後の時代を共にやっていけたらな、という思いで、作らせて頂きました。
檀家さんも地域の方々も周りの地域の方々もそれ以外の方々も、今、この時代の中で、少し時間があるなら、是非読んでみて下さい。

地域の人々の感覚や共感に近い講話を

地域の人々の感覚や共感に近い講話を

社会学者や民俗学者が地域や村を研究するときに、考慮に入れていない点があります。地域や村の産業や政治の構造に触れている研究はよく見かけますが、お寺と神社の機能について触れたものは皆無だと思います。
お寺と神社を抜きに地域や村の像を描くと、それは地域の全体ではなくなってしまいます。
私は、この講話集の中で、唐院のお寺と神社の機能について知っている範囲、分かる範囲、言い伝えられている範囲、聞いた範囲で触れました。

歴史学では、歴史を構成する際の証拠として、文献、遺構、伝承の順に取り扱っていて、伝承などは証拠としては余り考慮されていないと聞いています。
しかし、人々が
「あの話な、表ではああいうことになっているんだけど、本当のとこは、こうやねん。」とか、「あの話はああ言われているけれど、正味の話はこうなんですよ。」
と言うとき、特に昔は、表に出たものだけが書の形で残り、それを証拠として史実を認定して歴史書を書けば、それが本当のこととはいいがたい場合もあると思われます。
私はこの講話をするとき、言い伝えをあえて優先し、伝承、遺構、文献の順に証拠の順番を変え、講話を構成しました。なので、この講話は歴史書としての価値はないと思います。
しかし、地域の人々の感覚や共感にほぼ近いのではないでしょうか。

最後に

最後に

奈良の片隅の唐院という所の我々とは何か、何であったかを、明治や大正生まれの人々が、寺の子供であった小さな私に言ったことの断片を思い出し、つなぎ合わせ、一旦できる限り描き出し、今後の時代にこの地域が復活するような一助となることを願って、この講話集を作りました。

我々は、我々の地域は、1000年の時を、いかなる時期をも超えてきた。
だから、まだまだ行けると思う。

地域で支え合おう

最後に

令和2年、マスクの品薄。まあ、何とか過ぎた。
令和3年、ワクチンの不足。まあ、何とか過ぎた。
しかし、食料自給率の低い日本で、食料不足、高騰は大変な重荷になります。

従って、地元の農家さんの米作り、野菜作りその他地元の方々の農業や仕事をみんなで支えるために、地元のものを買って下さいね。普段から、農家、生産者、職人さんたちとの個人的なつながりがあれば、どんな時代も安心な気がしています。

そのことに機に、ご縁があって、地域と地域、地域と都市部、色々が方々のつながりができたらいいですね。

また、植木の手入れ、家の修理、その他地元でできることは地元で依頼してみて下さい。それらも、地域が再び支え合って活性し重層的に復活してくることへの小さくはありますが、積み重なれば大きな社会貢献になると思います。

講話者

宗田大輔

宗田大輔
  • 唐院 浄徳寺 僧侶(但し、住職及び代表役員ではない)
  • 融通念仏宗 総本山 大念佛寺(大阪市平野区)教学研究所 所員
  • 司法書士(あいわ総合司法書士事務所 奈良県大和高田市)
  • 昭和49年生まれ
  • 平成5年 奈良高校 卒
  • 平成9年 北海道大学 経済学部 卒
  • 平成17年 司法書士事務所開設

講話